『匠明の表紙を飾る道後温泉保存修理工事』
長きに渡り、発刊し続けている一般社団法人建設業協会松山支部の会報誌「匠明」の2022年新春号が発刊された。2022年新春号の表紙には、現在保存修理工事真っ只中の道後温泉保存修理工事が写し出されている中で、今回は前回の我が社自慢の女性課長に引き続いて、道後温泉保存修理工事の所長(岡本 和博)からの現状説明を原文を下記にそのまま載せたいと思う。
【道後温泉保存修理工事説明】 門屋組・成武建設・富士造型特定建設業工事共同企業体 岡本 和博
重要文化財の道後温泉本館神の湯本館ほか3棟保存修理工事も、今年の7月中旬(←2021年7月)から後期工事に入りました。今回は素屋根工事の事を書かせて頂きます。事前準備を含め今年の1月から準備に入りました。
最初に前期工事の仮囲いを解体し、道後温泉の顔である西側玄関前など基礎を施工する範囲の床石を撤去しました。進入口は床石と同じ高さとするため地中障害物(給水、排水、電話、ガス等)を試削をして確認し、必要に応じて迂回しました。
次に掘削、地業を行い基礎位置の墨出を行いました。続いて配筋、型枠、アンカーセット、コンクリート打設を行い、先行してできる範囲の基礎工事を2月から4月中旬の約2ヵ月半をかけて行いました。
4月下旬から5月中旬にかけては、繁忙期となるので、観光客に配慮し工事は行いませんでした。5月中旬から下旬にかけて、前期素屋根テント膜の解体工事と夜間東妻面の鉄骨解体工事を行いました。その後東妻面の素屋根基礎解体工事を6月初旬から中旬にかけて行い、下旬にかけては床石を復旧し、7月中旬からの後期営業に備えました。
また、北面と西面の一部の基礎は7月初旬から9月初旬にかけて行い、北西の歩道部分が窮屈にならないようぎりぎりまで配慮しました。
本格的な素屋根の鉄骨組み立ては、9月下旬から行いました。まず、敷レール(H形鋼)を設置し、それらに付属する受け柱を取り付けました。今回の素屋根は全長を6スパン(10.980ⅿⅿ)継ぎ足す必要があるので、2スパン継ぎ足しては移動を繰り返し全体を組み立てました。全体を移動し所定の位置で固定し西妻面の鉄骨組み立てを10月中旬にかけて行いました。
一連の作業は大型クレーン2台にて行うため、夜間東側の県道を全面通行止めとする必要がありました。管理諸官庁である地方局、警察署をはじめ商店街振興組合や旅館協同組合、近隣の方々等への説明も並行して実施し許可を得ました。
そしていよいよテント膜の施工に入りました。今回の図柄は、画家の大竹伸朗氏の作品です。宇和島市を拠点に活動されているとの事。なにかご縁のようなものを感じました。メインとなる屋根、壁面のテント膜を夜間に大型クレーンにて荷揚げしました。
屋根を広げたら続いて東面、西段差面、西面、北壁面、南壁面の順番で手際よく広げていきました。取り付けは小型クレーンと高所作業者にて行い、図柄を合わせながら慎重に外部のロープを固定していきました。最後に全体の微調整を行い11月中旬に素屋根工事を完工しました。
今のところコロナ感染者数も落ち着きを見せ、観光客が今後さらに増加することも予想されます。引き続き、地元の方への配慮はもちろん、遠方から来て頂いた観光客の方に、「工事中だったが来てよかった」「また行きたい」と言ってもらえるような工事の運営を心掛けたいと思います。
工期も残り3年余りとなりました。今まで以上に【安全第一・第三者最優先】【見せる工事】を意識し全力で望みたいと思います。完工迄、何かとご迷惑、ご不便をおかけしますが、何卒ご理解を頂きます様よろしくお願いいたします。